ブラック研究室は何がブラックなのか?・「承認」の立場から考える
研究室に入ったことがないと、「ブラック研究室」がどんなものなのか分からない人は多いと思う。
ここで、まずブラック研究室の分類をしてみたい。
ブラック研究室には、大きく分けて、以下の3つの種類がある。
- 叱責系研究室
- 放置系研究室
- 激務系研究室
この内、叱責系研究室は明らかに、ブラックだと分かる。
理不尽な罵倒や、ミスそのものから人格否定までされたら、そりゃ研究が嫌になる学生が続出するのも無理はない。
放置系研究室は、とにかく教員が学生の面倒を見ない研究室だ。
みんなが窓際社員のような扱いを受けるわけだ。
何をしても、自信がもてない&する気力が出ないから辛い、と感じる。
激務系研究室は、とにかく求める研究、発表の質、量が高い研究室だ。
このため、研究時間および資料作成のためにかかる時間が長くなりすぎ、研究室にいる時間・労働が多くなる。
以上、研究室を分類したが、その辛さは根本的に違うものではない、とここで主張したい。
これらに全て共通するのは、「教員が学生のことを全く考えていないこと」である。
言い換えれば、教員が学生を承認しないこと、である。
社会を構成する主体どうしは、承認関係によって成り立っている。
この主体どうしが幸福に暮らすためには、どちらかが支配されている上下関係ではなく、互いに承認しあわなくてはならない。
人間は承認されていないと感じると、不幸を感じるようになる。
また、実際に一番研究室で関わりのある教員から「承認」されないのは、かなりのストレスになるだろう。
もっと不幸なことは、承認されない人は、承認されない人は、その組織内において見下げられた存在になるために他人を承認する力がなくなることである。
こうして、承認できない人が増えてくると、更に承認されない人が増えてきて、「承認の崩壊」が始まる。
ここで、学生がとる手段としては、主に2つあり、一つ目は「自分を承認してくれる仲間内にひきこもること」であり、2つ目は「自分にひきこもり、他者と関係をもとうとしなくなること」である。
どちらをとるかは、その組織の文化による。
一般的に教員が学生を認めない研究室は、学生どうしの仲が小さい内輪で良すぎるか、あるいは悪いのは以上のことからだと思う。